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ワークウェアは何故格安なのに機能が充実しているのか?

格安で高機能な服が売られているため、巷ではワークマンが大変な話題となっています。

では、ワークマンの機能性や低価格というのは類を見ないほどのオリジナリティ溢れる物なのかというとそうではありません。

ワーキングユニフォーム、いわゆる作業着というジャンルは、基本的に

①低価格 

②高機能

という2つの条件を兼ね備えていなければならず、いわば「業界標準」なのです。

 

ワークマンに限らず、ワーキングユニフォームメーカー各社はもう何十年も前から格安で高機能な作業服を世に送り出し続けてきたのです。ご存知でしたか?

ではどうして格安で高機能な服が「業界標準」になったのかというと、

 

1、肉体労働をする際に着用するのでスポーツウェアと同様に機能性が必須

2、趣味で買う服ではない上に、一定期間着用すれば必ず傷んで買い替えなくてはならないため

 

という2点の理由が挙げられます。

 

大量生産と「長い販売期間」による低価格化の実現

肉体労働をする際に着用する服には何らかの機能性が求められることは少し考えれば誰にでもお分かりいただけると思います。また、通常のファッション衣料は「趣味」「嗜好」という側面があるため、少々高くても売れますが、作業着は「趣味」「嗜好」の服ではありません。必要に迫られて、極端な言い方をすれば「嫌々」着ているわけですから、価格が高ければ誰もわざわざ買おうとは思いません。また洗濯のための洗い替えが必要ですし、一定期間着用すれば傷んで買い替えなくてはなりません。ですから、安ければ安いほど喜ばれるわけです。

 

ワークマンに限らず、ジーベックやバートル、クロダルマなどのワーキングユニフォーム各社の商品を見ると、値段の安さに驚きます。1900~3900円くらいが中心価格帯です。

 

ではどうやってその安さを実現しているのかと言うと、ワーキング各社はユニクロと同様に大量生産を行います。大量生産することで1枚当たりの製造コストが引き下げられることは多くの人が知っています。ただ、カジュアル衣料やファッション衣料と異なる点は、各社の商品の販売期間が長いことです。だいたい3年間、長ければ5年間くらい同じ商品を売り続けます。作業服はカジュアルとは異なり、毎シーズントレンドが変わるということはありません。ですから長期間売ることで、より大量生産しやすくしているといえます。

 

カジュアル出身でありながら、ワーキング業界へと進出したBMCも当然ながら、ある程度の安さが求められます。しかし、通常のワーキングブランドに比べるとBMCは1000円くらい高い価格が付けられています。それでも取り扱い店舗数が増えているということは順調に売れているからということになるでしょう。

 

ワークウェアにも求められ出した「ファッション性」

これまで、ワーキングユニフォームはトレンドもなければファッション性もありませんでした。しかし、今の現場作業員の人は、ファッションについてそれなりに関心があり、オフタイムでは自分の好きなファッションを楽しむ傾向にあります。そのため、徐々にではありますが仕事着にもファッション性を求めるようになってきています。ワークマンの躍進はそういうニーズを捉えたからといえます。

 

その証拠に、アシックスやプーマ、ディアドラといったスポーツブランドもワーキング業界に徐々に進出し始めてきています。BMCもカジュアルからワーキングへ参入しています。通常のワーキングよりも高い値段でも売れるのは、ファッション性という付加価値があるからです。実際に、ファッション好きな現場作業員は通常商品より2倍くらい値段が高くてもプーマやアシックスの安全靴を購入するといわれています。

 

社会が成熟化するとあらゆる分野がファッション化します。ワーキングユニフォームもファッション化してきており、そこに各社はターゲットを合わせてきたということになります。BMCがいち早くカジュアルからワーキングへ進出したことは先見の明があったといえます。

 

 

 

ライター:南 充浩(みなみ みつひろ)

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブログ( http://minamimitsuhiro.info/ )】

 

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