自宅で誰でも簡単に出来るデニムのケア
洋服は消耗品という側面がありますが、お気に入りの服はできることなら長持ちさせたいですよね。
今回はジーンズのケアについて、考えてみたいと思います。ただし自己流です。
以前に書いたように、月に1回か2回ペースで洗濯すること自体がジーンズのケアを兼ねます。その昔、ビンテージジーンズブームのころは「洗濯せずに色落ちさせることがカッコいい」とされましたが、何年も洗濯しないと、汗や皮脂で繊維が劣化してしまい、結果的に早期に破れてしまいます。それを避けるためには、定期的に洗濯をして汗と皮脂を落とすことが重要になります。
長持ちさせたければ「洗い方」に注意
また、デニム生地の色落ちは、摩擦によるものなので、洗濯をした方が早く色落ちさせることができます。洗濯というのは、浴槽の中でジーンズが擦れるわけですから必然的に色落ちします。
ただ、全体的に色落ちしてしまいますから、それを避けたければ
1、裏返す
2、裏返してからさらにネットに入れて洗う
という2点を守るべきでしょう。
あと、普通の洗濯用洗剤ではなく、ジーンズ専用の洗濯洗剤もありますから、それを使うというのも一つの手段でしょう。ただし、僕はめんどくさいので、普通の洗濯洗剤で洗っています(笑)
着用しないときの保管方法としては、個人的には、たたんでもハンギングでもどちらでもよいのではないかと思います。保管する際にもっとも気を付けなくてはならないのは「日焼け」です。
蛍光灯の明かりで常に照らされている場所や日光の当たる場所に置いておくと、ジーンズに限らず、たいがいの洋服は日焼けして退色・変色します。ですから、光の当たらない場所に入れておくのが一番安全でしょう。例えば、普通の洋服ダンスなんかに入れておけば光は当たりません。
あと、乾燥機を使うと縮んでしまう可能性があるのでこれも注意してください。僕はいつも自然乾燥させています。
止められないストレッチ性の劣化
一方で、ケアのしようがないこともあります。スキニージーンズブーム以来、必須となったストレッチデニム素材ですが、これはいくら丁寧にケアしても多くの場合、何年か後にはストレッチ性がなくなります。
ストレッチデニム生地には主に「ポリウレタン」が含まれます。正確にはポリウレタン弾性繊維と呼ぶそうですが、これがゴムのような糸で伸び縮みするわけです。便利な糸ではありますが、ポリウレタンという素材は、何年かすると絶対に壊れます。糸の場合、断裂します。
そうするとストレッチ性がなくなり、ただのデニム生地になってしまいます。耐久年数はだいたい5~10年ぐらいではないかと思います。
15年くらい前に買ったストレッチデニム生地で作られたペインターパンツを持っていました。綿・ポリウレタン混のストレッチデニム生地でしたが、これが去年か一昨年くらいに、まったく生地に伸縮性が無くなってしまったのです。着用年数は10年強だったと思いますが、ついにポリウレタンが断裂してしまったと考えられます。
一部にはポリエステルを使ったストレッチ生地もありますが、こちらはポリウレタン混よりも長持ちします。ですからポリウレタン無しで、ポリエステルが入っているストレッチ生地の商品を見つけたら買っておいて損はしません。
ポリウレタンという素材は合皮にも使われます。以前にユニクロが発売していた「ネオレザー」もポリウレタンの合皮です。ポリウレタンが使われている合皮はだいたい3年~5年後には表面が剥離してしまいます。ポリウレタンが劣化するからです。だから、ネオレザーには「3年後くらいに表面が剥離し始めます」という注意書きが書かれた下げ札が付けられていました。
形状はどうであれ、ポリウレタンという素材は必ず壊れてしまうということを覚えておくと、良いでしょう。
まあ、いろいろとありますが、ジーンズ本来の魅力というのは、「雑」に扱っても簡単にはくたびれないという部分もありますから、細かいことは考えずに着用するという姿勢で問題はないと思いますが、日焼けには気を付けて、あとは色落ちさせたくなければ裏返してネットに入れて洗濯するということだけを注意していればそれで十分ではないかと思います。というのが、自己流のジーンズケアでした。
それと、ポリウレタンという素材は長持ちしないことが前提だということをお忘れなく。
ライター:南 充浩(みなみ みつひろ)
1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブログ( http://minamimitsuhiro.info/ )】