藍染めとインディゴの違い
「ジーンズは何故インディゴなのか?」の続き、
日本古来からあるブルーカラー「藍染め」との違いについてです。
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藍染めについて
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人類最古の染料ともいわれている「藍」。
紀元前より世界各地で青色の染料として利用され、
ツタンカーメンのミイラの衣装にも藍染めが使用されていたそうです。
藍染めが日本に伝来したのは奈良時代ごろ。
藍の葉は昔から薬効が広く知られ、薬用植物として解熱、解毒や抗炎症薬等など、貴重な民間薬として使用されていました。
濃く藍染した布は耐久性が増し、抗菌性・消臭性にも優れ、害虫・蛇避け効果があるため作業着や足袋などに、
また、燃えにくく保温性にも優れているとされ、道中着や火消しの半纏にも多く用いられました。
引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本で使う「藍」はタデ科の植物ですが、「藍染め」は植物に含まれるインディゴという成分を使って染める製法のことなので、タデ科以外にも各国によってインディゴ成分を含む植物が藍染めに利用されています。
日本ではタデ科の「蓼藍」、インドの「インドアイ」(マメ科/木藍-もくらん-)」、琉球では在来の「琉球藍」(キツネノマゴ科)、ヨーロッパ「ウォード」(アブラナ科)、北海道「タイセイ(エゾアイ)」(アブラナ科)などなど。
同じインディゴ成分を含む藍染めといっても、使っている植物が異なるために色合いが違っています。
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藍染めとインディゴ染めの違い
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藍染めと合成インディゴの染め上がりは、同じ染め方をすれば見た目にはあまり違いがわかりません。
藍染めは染料液(すくも)というを発酵させた液体を使用した天然染料に対し、
藍染め用のすくもと藍甕
化学薬品を使用して染めた合成染料がインディゴ染めです。
引用:カイハラ株式会社
染めの原料としての違いは、
藍染めは天然物のため安定した染めが難しく、染織過程の手間もかかり職人の技が必要です。
糸の中まで染めの色が浸透し、時間を経ることにより深みのある色が定着していきます。
また、使い込んで洗濯を繰り返すうちに、色が落ち着き、柔らかく肌に馴染むようになります。
天然ということもあり藍染めのほうがもちろん高価。
工業生産のインディゴは安価で大量生産が可能です。
天然よりも不純物がないため鮮やかに染まり、藍染めと違って着用した時の摩擦や洗濯により色落ちするという欠点ともいえる特性が、ジーンズでは魅力とされています。
ジーンズの生地であるデニムは、ロープ染織という染織方法でインディゴが糸の真ん中まで染まらない方法で染めているのも特徴でしたね。
ジーンズの染色としてインディゴが主流の今、藍の栽培も縮小し、藍染めはほとんど使われることがなくなりました。
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現代に生きる藍染め
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日本で藍染めは江戸時代に最盛期を迎えます。
「紺屋」といえば江戸時代の染物屋の代名詞。
染め物といえば大半を藍染めが占め、城下町には必ずと言ってよいほど紺屋町があったそうです。
着物、浴衣、野良着、のれん、前掛け、手ぬぐい、足袋、火消し半纏、風呂敷などなど。
思いつく藍染め製品はきりがありませんね。
江戸の町はまさに藍色の町でした。
現代の日本でも、野球日本代表「サムライジャパン」、サッカー日本代表「SAMURAI BLUE」や、「なでしこジャパン」のユニフォームなどに使用される「青」。
青はどうして日本代表カラーになったのでしょうか。
明治時代の初め、来日したイギリス人科学者が、町にあふれる藍染めを見て、藍色を「ジャパンブルー」と記したということに由来しているそうです。
また、サッカー日本代表のユニフォームには藍染の生地で最も濃い色の呼称「勝色(かちいろ)」が使われていました。
日本の伝統色である深く濃い藍色。武将たちが戦いに挑む際身にまとった、鎧下と呼ばれる着物に使われる藍染の生地は【勝色】の深く濃い藍を出すためには布を叩きながら染めるため、「叩く=褐(かつ)=勝つ」にかけて、勝利への験担ぎをしていたと言われている。
引用:IGNITE(イグナイト)
最近では、天然染料による染色が見直されて、高価な藍染めのジーンズも人気のようです。
藍染めもインディゴも、どちらも穿きこむ人によってに経年変化が見られそうで面白いですね。
個人的な話になりますが、筆者が毎年着ている祭り衣装の中で、股引とどんぶりは若い頃に町内会のご老人からいただいた年代物の藍染めの逸品。今のと違ってストレッチ機能なんてなくてパッツンパッツンなんですが、木綿の裏地なんかが付いていて藍色も年を経ていい色具合。
もう販売しているところも見かけないし、もしあっても高そうなので大事に着ようと思ってます。
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藍染・インディゴが普及した理由
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どうして藍染が普及したのかですが、先述しましたように機能的なメリットがあったからです。この藍にはインディゴ成分が含まれています。藍の天然インディゴ成分に対して、合成インディゴを用いたのが現在のデニム生地です。どうして合成インディゴを使用するかというと、藍というのは扱いが非常に難しいのです。
発酵させた「すくも」という染料液の温度管理が難しく、発酵させすぎてもダメになりますし、発酵させなさ過ぎてもダメになります。良い発酵度合を保ち続けるには管理を厳格にしなければならず、このノウハウは一朝一夕で身につくものではありませんでした。
そのため、扱いが比較的容易い合成インディゴが用いられるようになり、今に至っているというわけです。
現在、合成インディゴはロープ染色という方法で染められ、藍染とはやり方がまったく異なりますが、染め上がりは一見するととても似ています。しかし、使い込んでいくと決定的に異なる部分が見えてきます。
インディゴ染めのデニム生地は摩擦によって色落ちし、だんだんと色が薄くなっていきます。またヒゲやアタリと呼ばれるようなメリハリのある色落ちがあります。
一方、藍染ですが、インディゴ染めに比べると色落ちしにくいのが最大の特徴です。また、色落ちしてもインディゴ染めデニムのよりもメリハリのない色落ちをします。いわば均一に色落ちすると言った方が分かりやすいでしょうか。
あとは値段です。藍染は量産しにくくコストが高いため、概して製品は高額になります。インディゴ染めのデニム生地よりもはるかに高額となります。現在では国内の藍染は細々と各地で行われているくらいになってしまいました。
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藍染とデニムの関係
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藍染とデニムの関係はまだ続きます。
今では「日本製デニム生地」といえば、世界的にも高い評価を受ける場合が多く、国内生地の中では最も成功したものの一つだといえますが、実は日本でデニム生地が生産されるようになったのは、比較的最近のことなのです。
ジーンズが国内にもたらされたのは第二次大戦終戦後すぐでしたが、国産ジーンズが登場したのは1960年代になってからです。この時、デニム生地はどうしていたのかというとアメリカから輸入していたのです。
そして、国産が始まったのは1970年のこと。
カイハラが国産化に成功したのです。カイハラはもともと、藍染めした糸を使った備後絣を製造していました。カイハラが本社を置く、広島県福山市は藍染の糸を使った備後絣の産地でした。
1960年代まではカイハラは備後絣を製造していたのですが、そこから1970年にロープ染色機を完成させ、デニム生地工場へと転身したというわけです。藍染の備後絣とはいくつか異なる点はあるものの、共通点も多いインディゴ染めのデニム生地へと転身することで生き残ったというわけです。
その後のカイハラの知名度は広く世間に知られている通りです。
デニムのカイハラのルーツは藍染の備後絣にあったのです。
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